障がい者と秘書検定準1級の面接試験

秘書検定と障がい者

秘書検定準1級の面接試験と障がい者(実話)

大学のエクステンションセンター(大学生や社会人が資格取得をするサポートをする部署)の秘書検定2級、準1級受験対策講座を担当していたとき、車椅子の女学生が受講者にいました。

筆記試験に無事合格した彼女は、はじめて休憩時間に話しかけてきました。

「先生、わたし車椅子ですけど面接試験を受けられますか?」

実はわたしも、車椅子の受講者を持ったのは初めてでした。

2級の筆記試験だけを狙っていたのだと思いこんでいたわたしはあわてて彼女にこう言いました。

「来週の講義までに、秘書検定協会へ確認しておきます。必ず結果を伝えますので、気を抜かずに面接のトレーニングをしておいてください。」

そして、協会におそるおそる電話してみたのです。

秘書検定協会の対応は…

その日の講義は土曜日でしたので、週明けの月曜日に早速電話しました。

「恐れ入ります、実は本日はご相談があってお電話差し上げました。秘書検定準1級面接試験ですが、両足の不自由な生徒が受験を希望しております。もちろん筆記試験は合格しております。受験することは可能でしょうか?」

協会の担当者は、隠すことなく正直にこう返答しました。

「申し訳ございません、いままで障がいのある方のある方の面接試験を実施したことがございません。協会内で検討しますので、数日お時間をいただけますか?」

わたしは嬉しく思いました。

正直、門前払いも覚悟の上で電話していたのです。しかし、協会は初めてのことにもかかわらず、検討すると返答してくれたのです。期待せずにはいられません。

そして翌日の火曜日、わたしの携帯電話に協会から着信がありました。

朗報か、否か。

特別に面接試験が別日程で設定された

協会担当者からの返答でした。

「お話ししました通り、協会でも初めてのことですので、どのようにすべきかを深く協議しました。結果、その方の面接試験を行うことと致しました。」

「は、はい!ありがとうございます!」

「面接試験はご存知の通り、3人の面接官が複数の面接会場を2ヶ月程度かけて移動しながら実施しております。このため、一般試験者と同日に実施することはできません。」

「存じております。」

秘書検定の面接試験は、3人の面接官が各試験会場を回りながら実施するため、全国で少しずつ日程がずれています。逆に言えば、先の日程まで会場が決定しているため、最終日以降でなければ対応できないということなのです。

その理由、として担当者が説明した言葉にわたしは心から驚きました。

秘書検定準1級面接試験の趣旨をかみしめる

「車椅子の方の面接を行うためには、試験会場、控室、お手洗いなどがバリアフリーである必要があります。試験官の日程にあい、かつバリアフリーの会場を押さえるため、当方の日程に合わせていただく必要があります。」

「当人に確認しなければなりませんが、本人もなんとしても予定を合わせると思います。」

「さらに試験についての考え方をお伝えしておきます。」

「はい(なんだろうか)。」

「秘書検定の面接試験は、秘書としての振る舞いが通常以上であるかどうかを確認するためのものです。また、合格された場合、健常者(障害のない健康者)と同じ能力があるとして協会も認めることとなります。」

「おっしゃる通りです。」

ここでわたしは嫌な予感を抱きました。

健常者と同じ能力というのならば、直立、会釈、普通礼、敬礼が普通以上にきちんとできなければなりません。

しかし、車椅子に乗る彼女には望むことではありません。

さりげなく断られているということ?

いや、しかし受験会場は東京ではなく新幹線の移動が伴います。

3人の面接官の新幹線代、前日の宿泊代、日当、試験会場代などを考えて、断るためだけに協会がそんな経費を負担するとこは考えづらい。

担当者は続けました。

「協会は、健常者と全く同じ基準で評価いたします。できない部分はそのままできないと評価します。この点については先生も、受験者の方も、十分にご理解ください。」

「はい、かしこまりました。本人にしっかりお伝えしておきます。何より、受験のチャンスをいただきありがとうございます、感謝いたします。」

「はい、では、試験会場でお待ちしていますとお伝えください。」

「ありがとうございます。」

わたしは次の土曜日が待ち遠しくで仕方ありませんでした。

早く、受講者にこの事実を伝えたい。

あなた一人のために、秘書検定協会が面接試験を行なってくれるのだと!

そして、初めての面接試験

協会にとっても、わたしにとっても、もちろん受講者本人にとっても初めての準1級面接試験が行われました。

受験会場へ行きたい気持ちは山々でしたが、その日わたしは別の地方で講義を行う予定となっており、残念ながらその様子を見ることはできませんでした。

そして、後日。受講者から連絡がありました。

合格です。

日本初、足が不自由であっても秘書検定準1級の合格者が生まれたのです。

講師のわたしからみても、品のある笑顔、聞き取りやすくハリのある声、本当に十分合格レベルではありましたが、ハンデが気がかりでした。

わたしからできるアドバイスは、

  • 笑顔を保つこと
  • 明るい声を出すこと
  • 椅子の上でも、お辞儀を使い分けること

だけでした。

合格を勝ち取った彼女の向上心に感銘を受けるとともに、協会が全力で対応してくださった姿勢に喜びを隠せませんでした。

彼女にはこれから、障害のある方々の気持ちを知る秘書検定準1級合格者として素敵な活躍を期待しています。

そして、現在の秘書検定公式ホームページにある「受験要項」にはハンディキャップのある受験者への対応が明記されています。

ビジネス系検定トップ>秘書検定トップ>受験要項

実はこの話にはオマケがあります。

わたしも少しだけ障がい者です

わたしも秘書検定準1級の面接試験を受験したとき、実は片耳の聴力を失っていました。

障害手帳はないものの、実はわたしも少し障がい者だったのです。

面接官には何も伝えず、健常者のフリをして受験しました。

わたしも彼女と同じく、一発合格を勝ち取ることができました。しかし、実際に仕事をするときは聞こえる方の耳でなければ相手が何を言っているのか、電話が鳴っていることにすら気づけないなどの不都合があります。外見ではわかりづらいため、相手を無視したように感じさせてしまうこともしばしばあります。

わたし自身、仕事上の不便を感じています。

でも、秘書検定に合格している自分は、通常の人ができることができないけれど、通常以上の接遇対応ができると公的に認められているという安心感があります。

もしもあなたに障害があって、秘書検定準1級の受験をためらっているなら、ぜひチャレンジしてください。

生活上で不便を感じたとき、もしもこの資格を取得していれば、あなた自信があなたを認める一つの素材となり得ます。

ビジネスパーソンとして、公的に認められていること、とても素晴らしいと思いませんか?

応援します、がんばってください!

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